藍青

〜晴れ時々日記〜 SHOがつづる短歌、旅行などなどの日記です。
香川県に住んでいるバイク好きです。愛車ヤマハYZF-R6の話も、書いていきます。
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森永卓郎『<非婚>のすすめ』その1
『だめんずうぉ〜か〜』や『Smart晩婚講座』に参考文献として出てきた森永卓郎の『<非婚>のすすめ』を
読んでいる。「晩婚化」とは初婚年齢の高齢化のことであり、これを最大化すれば「非婚化」に行き当たる。
検索サイトで「晩婚」とキーワードを入れて検索した中には、結婚していない若者に対してお説教を垂れる随想
あったりする。あまりに馬鹿馬鹿しい論理なので引用する。

結婚を自由のない束縛されるものと考えているあなた。それはあなたが幸せな結婚生活をイメージできない
ということにほかならない。(中略)しかしそれは結婚にその程度のイメージしか抱けないあなたの
イマジネーションが貧困だということにほかならない。人生についてのあなたのイマジネーションが
貧困だということにほかならない。


ちなみにこの文の著者は「我が家は早婚の家系で、(中略)私自身も24歳で結婚し、27歳で長男を
もうけた。3人の子供たちも私と同じ年まわりでみな結婚し、それぞれ2人ずつ子供がいる。」のだそうだ。
「幸せな結婚生活をイメージできない」のはその通りだが、それを「人生のイマジネーションが貧困だ」
と断定するのは如何なものだろう。大きなお世話である。「幸せな結婚生活をイメージできない」家庭に
育った多くの若者の家庭生活をこの人は想像したことがあるのだろうか。

また、仮に幸せな結婚生活をイメージできる家庭に育ったとしても、現代において若者が仮に結婚したくても
環境によっては安易に結婚できるとは限らないことも指摘したい。私の通っていた大学では半数の人が
大学院に進学する。この人の結婚した24歳と言う年齢では、まだ経済的に自立していないのである。
この状況下で安易に結婚することが、どれほど無責任なことなのか、この人は考えているのだろうか。

島根大学法文学部教授の廣嶋清志の論文、「人口学からみた性別 ―晩婚化・非婚化の原因と展望 」では、

晩婚化・非婚化はどのような階層においても進行した, より一般的な意味を持つ社会変化であると
いうことができる。 これは多くの曲折はあるとしても基本的には結婚を含む社会関係が全体的に自立した
個人間の関係へ変化する過程であり, また女性の社会的地位向上の過程ということができるであろう。


と結論づけている。私もこの意見に賛成である。

閑話休題。
『<非婚>のすすめ』の章立てを紹介する。

・第二の家族革命
 「『国策』につくられた戦後家族」「終身結婚制の終焉」
・日本型恋愛と結婚の謎
 「変貌する『愛の三角形』」「オンリーユーフォーエバー症候群」「経済体制と結婚システム」
・シングルライフの経済学
 「税制・年金は専業主婦優遇か」「結婚・住宅・子育てのコスト」
・非婚社会で何が起こるか
 「経済構造はこう変わる」「少子化時代の発想転換」

<非婚のすすめ>は1997年発行の本である。したがって、この本を取り巻く社会情勢は1990年代半ばだ。

高度成長期の合計特殊出生率は2.0〜2.2。出生率が2.08を下回ると長期的には人口が減るそうだ。
現代日本の中心的な家族形態と想定されてきた核家族が主流だった期間は高度成長期の15〜20年間と
言う非常に短い期間の話だとこの本では指摘している。戦前の家族形態は大家族が主流であり、1975年
以降はシングル世帯の爆発的な増加によって核家族比率は低下を続けているらしい。

著者は出生率低下の意味をこう指摘している。

1.57ショックの持つ本当の意味とは、家族の主流の形態がシングル世帯に移りつつあるときに、それへの
子育て環境の適応が遅れていることによって、子供が育ちにくい社会になってしまっているということ
なのである。


そして、その要因として以下のように挙げている。

1,夫婦が共稼ぎをしたりシングルを一生貫き通すことが社会や労働市場の変化で可能になったこと。
2,国民自身の冷静な経済的判断によって、不利な専業主婦が回避され、共稼ぎやシングル世帯が増えたこと。
3,共稼ぎ世帯やシングル世帯のまま子供を育てることに多くの困難が伴うこと。
4,晩婚化の進展。
5,生涯非婚率の上昇。結婚を延ばしたために結局は結婚できなくなってしまう人、あるいは
 積極的に非婚を貫く人の増加。
6,生涯非婚者に子育てを可能にする環境の不備。

著者は「核家族や標準世帯の仕組みは決して日本の歴史や文化に根ざしたものではなく、むしろ経済の
要請に基づいて政策的に持ち込まれたものだ」と指摘している。そして、その手段として「経済的な
誘導ではなく、国民全体を一種のマインドコントロールに巻き込むことによって達成された」とある。

具体的には、戦時中は「高度国防国家としての兵力量と労力を確保する」ために5人の子供を生むことが
奨励する構想があった。そのために結婚年齢を当時の実状より3年早めると言う構想まであったのだ。
この戦時人口政策が1947年から1949年生まれの「団塊の世代」につながっていくと指摘している。

一方で、戦後の高度成長期においては企業によって産児制限が誘導されている。その理由は「企業の
生産性向上と労務費削減」である。説明すると、戦後の企業は電産型賃金と呼ばれる賃金体系に
なっていて、家族が暮らしていくための必要最低限の給与を保証する目的で、会社で働いていない
配偶者や子供にも手当を支払う賃金体系になっている。いわゆる家族手当だ。従業員がたくさんの
子供を持つと会社の労務費が増えてしまうために、企業としては多産を防止したかったのである。

そして「戦時期も戦後復興期も、日本の家族が政府や企業の都合によって、コントロールされつづけてきた」
と指摘している。そのやり方はマンガや教育によるマインドコントロールを主体にしている。

出生率は、1960〜1975年の安定期を挟んで変動している。1947年の4.54から1960年の2.00へ。そして
1975年の1.91から2003年の1.29へと。安定期の前を第一の家族革命、安定期の後、現在に至るまでを
第二の家族革命と著者は名付けている。

出生率の低下幅で見ると、第一の家族革命では13年で56%低下したのに対して、第二の家族革命では
28年で32%しか低下していない。つまり、高齢化のインパクトがより大きかったのは第一の家族革命だと
著者は指摘している。しかし、家族の仕組みの変化と言う意味では第二の家族革命の持つ意味の方が
ずっと大きいとも指摘する。

現実に生まれた子供の数と人工中絶数の合計は、第一の家族革命の時期から安定期を経て1973年まで
280万人前後でほとんど変わっていない。これは、第一の家族革命の時期の出生率低下は主に人工中絶の
普及によって成されたことを意味している。それに対して、1973年以降の合計は一貫して急低下を始め、
1993年には158万人にまで減少している、と指摘している。このことから、著者は低成長期に入った
第二の家族革命の時期から家族の仕組み自体に大きな変化が起きている。その変化は世帯類型の
変化に表れている、と著者は指摘する。

このことから、第二の家族革命の本質は「世帯の単独世帯化」つまり家族のシングル化だと言うのだ。
平たく言うと「第二の家族革命というのは、結婚をする年齢が遅くなり、それが有配偶比率を低下させ、
その結果として出生率の低下が生じていると理解するのが最も常識的な捉え方」と言うわけだ。

つまり、同じ出生率の低下という現象が起こっていても、第一の家族革命の場合は家庭で生む子供の数が
減少していることが原因であるのに対して、第二の家族革命の場合は結婚している女性の比率が低下した
ことが原因になっている、と言うわけである。

そして、若年層の女性の非婚率は20代前半、20代後半、30代前半とタイムラグをおいて時代が
下るごとに上昇している。このことは、若年層の有配偶比率の低下が現在進行形で生涯非婚率の
上昇につながりつつあることを意味している。1992年の低位推計では16%の人が一生結婚しないと
予測されている。男女の構成比率が105:100であることから考えると、男性の場合は実に21%の人が
一生結婚しない(あるいはできない)ことを意味している。大・生涯非婚化時代の到来である。
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