藍青

〜晴れ時々日記〜 SHOがつづる短歌、旅行などなどの日記です。
香川県に住んでいるバイク好きです。愛車ヤマハYZF-R6の話も、書いていきます。
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松原惇子 『クロワッサン症候群』
今月に入ってから、急に結婚だのいい男だのの指南書みたいなものを読み漁っている。結婚したくなった
のかと言われると逆で、「結婚したくない」自分を見つけてしまったのだ。急に気持ちが楽になったので
かえって結婚に関する本を図書館で借りては読み漁っている。草津の町立図書館はとても小さいので、
探し物に困らない反面で読みたい本がない可能性もかなりあるのが玉に瑕である。

この本の章立てを紹介しよう。
・クロワッサン症候群とは
・女性誌の影響力
 「女の時代到来」「クロワッサン御用達文化人」「拝啓 桐島洋子様」「向田邦子はOLの星だった」
・クロワッサン症候群の女たちは今
 「三十歳の留学」「企業でがんばる」「とらばーゆ人生」「マンパワーの女」「とにもかくにもウェディングベル」
・豊かな時代
 「自由が生んだ陥し穴」
・クロワッサンは変わった

さて、『クロワッサン』と言う女性情報誌があるのは名前だけ知っていたが、1980年前後に当時の
20代の女性の生き方に大きな影響を与えた雑誌らしい。『クロワッサン症候群』が出たのは1988年。
対象にしていた女性たちは当時30代半ばだから、1950年代生まれの女性たちと言うことになる。

でも、数日前に取り上げた『Smart晩婚講座』によると現代の晩婚化の犯人は1960年代生まれに
あるんだとか。われわれ1970年代生まれも晩婚化をどんどん加速させつつある犯人だと思うので、
時代が下るにつれて晩婚化がどんどん加速化しつつあるって言うのは本当なのだろう。
『クロワッサン症候群』では、1950年代生まれの女性を”クロワッサン症候群”の影響下にある人と
考えているが、1960年代生まれ、1970年代生まれと時代が下るにつれて、同じ症候群がより深度化した形で
現れているのではないだろうか。昨日取り上げた『ASIAN JAPANESE』は1995年発表だが、その影響を
20代初頭で受けた私自身が『クロワッサン症候群』をさらに深度化した形で影響を受けていると感じる。

クロワッサンが1979年から1981年にかけて組んだ特集にはこんなものがあるそうだ。

・女友達
・わたしの転身
・結婚からの解放
・新しい女性論の時代
・翔びたい心と翔べない現実
・離婚志願
・婚約解消
・女の転機
・結婚幻想は消えたか?
・ボーボワールは語る 結婚は女にとって危険です
・子供をつくらない生き方
・いい顔は歳とともにできあがる

つまり「脱・結婚」である。1978年から1981年にかけて、「クロワッサンは女がまともな結婚生活を
送ることをまるで罪悪であるかのように歌っていた」と著者は述べている。「女の自立」「結婚よりも仕事」
と言う思想に共感して仕事を持つことがステキに見え、その結果として30歳を過ぎても独身生活を余儀なく
されている人たちを著者は『クロワッサン症候群』と呼び、そして『クロワッサン症候群』は未婚者だけの
ものではない、と後の方で述べている。「結婚はしたものの、キャリアにあこがれ、主婦になりきれない
不完全燃焼の妻。離婚にあこがれ、主婦なのに水商売みたいな洋服なんか着たりして、カルチャースクールで
鬱憤晴らしする、そんなクロワッサン症候群の妻」も「違った意味のクロワッサン症候群」だと言うのだ。

以前紹介した『結婚の達人』によると、1950年代生まれよりもひとつ上の世代である1940年代生まれの
高等教育を受けた世代は「20代前半のうちに結婚に追い込まれてしまった世代」らしい。その反動として
「脱・結婚」と言う主張の流れが出来たのだと私は推測している。

当時の『クロワッサン』には市川房枝、犬養智子、桐島洋子、澤地久枝、加藤登紀子、吉行和子、
向田邦子と言った文化人がしばしば登場していたらしい。『クロワッサン症候群』では、彼女らに
共通する特徴を次のように挙げている。

・若くない。二十代から三十代の読者層に対して、四十代以上の文化人を起用している。
・キャリアウーマン。現役で仕事を持って活動している。
・普通の結婚をしていない。独身、未婚の母、離婚歴あり、熟年離婚、獄中の男と結婚など。
・知的な女
・美人はいない。

「結婚からの解放」と言う特集ページの中で読者がこう言っているらしい。

結婚したら何もできないという気がしてしょうがない。自由がない。何たって自分の時間がない。しかし、
クロワッサンに出てくる女たちはそんなこととは関係なく自分を持っている。私にもそんなことが
できるだろうか。


まるで、私が最近になって気づいた「結婚が閉じこめられるようなものであれば、したくない」と言う
感じ方そのものではないか。1979年当時の22歳の女性が感じていたことは、2005年の今、もっと一般化して
30歳を前にした男性が感じていることなのである。

『クロワッサン』で特集された文化人の中でも、特に大きな影響を与えたと『クロワッサン症候群』で
紹介されている桐島洋子、向田邦子の二人は、対照的な形で「脱・結婚」の生き方に終止符を打っている。
桐島洋子は1982年3月に結婚したことによって。向田邦子は1981年8月に飛行機事故で死去したことに
よって。そして登場人物の大黒柱を失った『クロワッサン』も質的転換を遂げていく。

そして、『クロワッサン症候群』は『クロワッサン』に影響されてシングルを続けている女性達が
1988年当時に何を思い何をしているのだろうか、と言う面接調査に移っている。面接した人数は約40人。
条件は「三十代で独身のOL」であること。果たしてシングルでいて良かったと思っているのだろうか、
と言うことが面接調査で知りたい最大のポイントのようである。

「三十歳からの留学」と言うテーマが章立ての中にあるように、この年代から30代のOLの留学は
盛んだったらしい。私が職業訓練校で出会った女性にもTOEICのクラスを卒業して現在留学している人がいる。
留学するのが目的なら、別に何も職業訓練校でTOEICの勉強しなくてもいいじゃない、と私は思うが。
NOVAかAEONでいいはずだ。たしかに職業訓練校だと授業料はタダだけどね。

閑話休題。
1987年当時で、3〜4年前から女性の留学は急に増えていたらしい。本当に勉強目的で行く人もいるが、
そのほとんどは「会社で5〜6年働いて、この辺で一息つきたいと思うんじゃないか」と言うのが
留学動機ではないか、とのことである。つまり「現状逃避」が目的だとこの本では書いている。

今はどうなのだろう。ひとつのサンプルで判断するのは危険だが、私が職業訓練校で出会った女性も
留学目的のわりには勉強に身が入っていないように感じた。私も海外で仕事をしていたから分かるのだが、
外国で暮らすだけが目的ならそれほど高いTOEICの点数は必要ない。暮らすだけが目的なら、未経験の場所に
飛び込んでいく度胸と少しの英語力があれば何とかなる。しかし、高度のコミュニケーションが目的なら
そうはいかないのだ。

再び閑話休題。
三十代、一流企業勤務の女性には、ある特色があるそうだ。それを著者はこんな風に表現している。

まず派手で若づくりだということである。単にオシャレだというのではなく、
見た感じ、話した感じが子供っぽい。


そして、その心境をこんな風に表現している。

OLを一生続ける気はしない。やっぱり結婚したい。しかし相手はいない。どうしよう。だからといって
騒ぐのもいい年してみっともない。なんとかなるわよ。そのうちに、そう自分にいい聞かせ、また明日も
職場にもどる。年とともに旅行にいっても気分はまぎらわなくなる。


”OL”を”今の仕事”に、”結婚”を”転職”に置き換えてみたら、ピタリと当てはまる人も多いのでは
ないだろうか。少なくとも昔の私はそうだった。

それはともかく、この取材では「私はクロワッサン症候群ではない」と言う人は40人中2人しかいなかったそうだ。
「どんな男性が理想か」と言う問いの答えが興味深い。こんな答えが出てくる。

・自立している男性
・自分によりかかりすぎない男性
・自分が仕事をすることを許してくれる男性
・疲れない人
・趣味とか波長の合う人
・ガツガツ食べる人でドーンとかまえた人
・身長170cm以上とは言わないけれど、男らしい男
・動物に例えれば熊タイプ。モグラタイプや鳥さんタイプは好みじゃない。

15年前の30代の女性とは言え「そんな条件を満たすような男、どこにおるかぁ〜!!!」と言いたいが、
男の側だって顔を付き合わせれば同じようなことを言っているから彼女らを責める資格はない。「理想の異性」と
「現実の異性」は違うから、異性を見極める「ここまではOK、ここからはダメ」と言うラインが必要になってくる。
1993年のヒット曲、広瀬香美の『ロマンスの神様』の歌詞では、合コンで男探しのチェック項目を具体的に
「年齢、住所、趣味に職業」とさりげなくチェックした挙げ句に「待っていました、合格ライン」と決めているが、
そうやって男を見極めるのは賢いと私は思う。チェック項目の中身が現実的かどうかが問題だけど。

『クロワッサン症候群』では、さんざん「結婚したい(けれど相手がいない)30代、独身の女たち」を
取り上げているが、最後に「一年以内に結婚する」と宣言して結婚にこぎ着けた女性の話が出てくる。
知っている限りの親戚や会社の上司、知り合いに頭を下げて回って、いい人を紹介してもらって結婚して
行くのだが、

彼女は今までかかげていた結婚の条件をすべて捨てたのである。平凡な家庭をもつために…。

と書いてある。先に紹介した『Smart晩婚講座』でも「晩婚のキーワードは逆転」と書いてあった。
「結局のところ、晩婚した女性たちの実態を探ると20代の頃の好み=結局のところ三高に代表される
自分よりも「うわての」男からぐるりと180度回転したところに着地している」と。現実に30代から
結婚していくって、こういう事なのかなぁ、と私は感じた。「いい人が現れたら結婚する」では、おそらく
通用しないのだ。考えてみたら、現代の就職戦線と同じではないか。今どき、30歳以降の再就職や転職で、
具体的な戦略も持たずに「いい仕事があれば転職する」ことが許されるような職場環境などありはしない。

『クロワッサン症候群』では、この事をこんな風に書いている。少し長いが引用する。

 自分がこの程度だと認めることは非常に屈辱的なことである。誰だって希望をもっていたい。しかし、
三十六歳という年は、ただむやみに夢を追っている年齢でないことは確かだ。
 自分の本心とは別に、世の中の風潮におどらされてきてしまった。そう気がついたら幸子さんのように
素直に認め、本来の自分に帰った方がいいと私は心から思った。
 幸子さんは自分がのせられていることに気がついた。そしてあわてて五〇パーセントオフにふみきった
のである。誰だって正札で売りたい。待ってて売れるものならば。しかし、現実は更におそろしいことに
五〇パーセントオフしたから必ずしも売れるものではないということだ。見切りが大事だ。そんなこと
わかっていても人間は商品じゃないからむずかしい。


最後の章「自由が生んだ陥し穴」の中で、著者はクロワッサン症候群の女性達の心境をこんな風に表現している。

 高等教育をうけ、社会をちょっとのぞいて結婚する予定だったお嬢さんたち。それが、女性誌を核とする
時代の波にあおられ、働く女になってしまった。仕事に対してビジョンや目的があったわけではなかった。
そしてはたと気がついたら三十半ば、不本意なシングル生活の毎日だ。
 一生、今の状態でいるなんて嫌だわ。一生OL続けるなんて嫌だわ。だからといって転職してもいい仕事
なさそうだし、一人で仕事するのも大変そう。私は、もともとキャリア志向の女じゃないのよ。あぁ…結婚して
今の生活から抜け出したい。


しかし「結婚して、すべてが解決するのだろうか。(中略)重度シンデレラコンプレックスは、
クロワッサン症候群の女が持つ大きな特徴である」とその直後で述べられている。そして、
「クロワッサン症候群は、自由業の女性にも、既婚の女性にもみられる」と指摘している。さらに
「クロワッサン症候群」を生み出した理由として「女性誌の影響」以外に3つの要因があると
指摘している。その3つとは、

・三十代、独身のOLたち自身がもつ依存心
・彼女たちをとりまく家族関係
・豊かな時代

である。それそれをくわしく説明すると

・自分で物を考え行動するのではなく、他者に依存して幸福にしてもらいたいとする甘い考えをもっている。
・三十すぎた立派な女が親の家に居候している。親は娘に甘え、娘も親に甘える。自立していない娘が、
 自立心のない子供を産み、自立していない大人を作り出す。
・三十すぎても、女性が仕事を得ることが、人材派遣会社の進出により可能になった。

と言うことだ。それを著者はこんな風に総括している。

高級レストランに食事にいったり、ゴルフ練習所にいったり、海外旅行にいったり…しかし、いくら、
こんなことをしていても心は晴れないのである。彼女たちは働いてこそいるが、ただ遊びの世界を
漂っているだけなのだから。


どうだろう。この問題は今や女性だけの問題ではなく、男女関係なく、より深度化した形で存在している
のではないだろうか。フリーターやニートの数は増え続け、新たな雇用形態を生み出す一方で全く職に
つかない若者も大幅に増加している。そして、さらに大事なことは、フリーターあるいはニートと言う形で
顕在化していない、現在は職に就き、あるいは学校に通っている若者が現実には大勢いると言うことだ。
その若者たちは、何かきっかけがあれば定職を離れ、あるいはニートになる。決して珍しい存在ではなく
「フリーター予備軍」あるいは「ニート予備軍」が大量に存在しているのが現代なのである。

結婚と就職とは似ている。一定の年齢を過ぎたら無計画に相手を変更するわけにはいかないと言う点において。
私は、結婚に関する本を読み漁りながら何を得ようとしているのだろう。
| SHO | 晩婚 | 07:25 | comments(2) | trackbacks(0) |

コメント
今日は。
「クロワッサン症候群」は読みました。面白くはあるけど、納得できないものを感じました。キャリアウーマンになろうとして挫折した人々を冷笑し、道を誤ったと決め付け(試行錯誤てはいけないの、とつっこみたい)、桐嶋洋子を責任者に祭り上げたとはいわないにせよ、若い女性に悪影響をあたえたかのようにえがき・・・確かに、本書に登場する若い女性は、目的を持たず、キャリアウーマンになることがかっこいいから目指しただけで、本当にしたい事が必ずしも、あるわけではない、ということのようです。しかし、男性でも、食べる為に働いてるだけで、目的を持たない人はいると思うし、日本の女性の場合、結婚して仕事を止める、という選択肢があるというだけで、女性も働くのが普通の国であれば、納得できない仕事をしている女性でも、結婚を機会にやめよう、とは考えないでしょう。(夫がうんと金持ちであれば別)「仕事に向かない女性はさっさと結婚して家庭に入るべ
し」、という思想は、アメリカで心理学を勉強した女性の意見にしては、ずいぶん前近代的だと思います。
| 内藤美知子 | 2006/03/11 1:55 AM |

内藤さん、はじめまして。ようこそいらっしゃいました。
貴重なご意見をありがとうございます。

試行錯誤の末に挫折して、どんどん年齢だけ重なってしまって、後戻りのできない年齢になったのにまだ自分は何者にもなっていない…と言う状況は私も経験しており、私はかなり身につまされて読みました。

試行錯誤がいけないわけではないけれど、どこかで自分に見切りをつけることは必要だと、私は自分の人生で感じています。私の場合は学業に見切りをつけて就職したのですが、納得していない部分は抱えつつも、自分に見切りをつけたことが判断として間違ったとは思いません。本書に出てくる女性の多くは、自分の器に見切りをつけられない人たちだな、と私は感じています。現在も男女関係なくそういう人は存在するし、自分に見切りをつけずにいつまでもグズグズ試行錯誤することが良いことだとは、私は思いません。

本書が書かれた当時、女性が一生働いて食べていく、と言うことは日本ではまだ今ほど当たり前ではなかった、と私は推測しています。「仕事に向かない女性はさっさと結婚して家庭に入るべし」と言うのは当時の発想ですが、「若い頃の夢を、何歳になっても若い頃と同じ方法で追うのは賢くない」と私は思います。
| にしむら | 2006/03/11 8:06 PM |

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