藍青

〜晴れ時々日記〜 SHOがつづる短歌、旅行などなどの日記です。
香川県に住んでいるバイク好きです。愛車ヤマハYZF-R6の話も、書いていきます。
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熊野灘のタンカー衝突事故と『海猿』
先日来、熊野灘で起きたタンカーの衝突事故がトップニュースになっている。
船内から行方不明の5名と見られる遺体が収容されたとか。痛ましいことだ。
事故から24時間で1名しか助からなかった時点で、おそらく残りの乗組員は船内に
閉じこめられたまま助からないだろう、と思っていたのだけれど、いざ現実に
乗組員がほぼ全滅と言う状況を知ると胸が痛む。ご冥福を祈ります。

ほぼ同日に、遠州灘でも衝突事故で砂利運搬船が沈没しているし、昨日は清水港で
日本郵船のコンテナ船が衝突事故を起こしている。視界50メートルくらいしか
なくても現代の船は平気で運航するのでこんな事故も起きるのだが、見張り不十分と
責めるだけでいいのか?と言うことを思う。

私の商船高専時代の卒業研究は海難事故の統計をまとめることだったのだけれど、
海難事故の多くは「見張り不十分」がからんでいる。専門用語で「視界制限状態」
と言う視界不良の状態では当直の人数を増やすことが肝要、と言うのが常道である。

しかし、乗組員が5名や7名の省力化が進んだ船で見張りを増員することは現実的に
難しいのだ。なぜなら、航行中の船舶は通常3交代の当直体制を組んでおり、しかも
事故を起こした当該船舶のような内航(国内航路)の船では当直1名で3交代するのが
ギリギリの乗員しか乗せていないからだ。視界50メートルの濃霧でも「通常運航」
と判断して当直1名で動かさないと、まともな休息も取れないだろうことは容易に
想像できる。それを支援するためのレーダーであり、自動衝突予防援助装置なのだが
それを扱う人間があくまでも1人であり、これ以上の人数の増員は事実上望めない、
と言うところに根本的な問題があるのだ。これが外航(外国航路)の大型船なら
船長が常にスペアとして待機しているので、視界制限状態の時はためらいなく呼ぶことが
できるのだが、乗員の少ない内航船で同じことができるはずもない。辛いけれど、
どうすることもできないのか、と思う。

話は変わる。
コンビニで『海猿』と言う漫画を立ち読み。海上保安庁のPSクラスの小型巡視船に
乗る新米の海上保安官が成長していく物語。沈没寸前の密航船から密航者を救出したり
拳銃密輸の現場を押さえる張り込みの話、あるいは主人公には船を下りたいほどの
トラウマに陥っても助けてくれる女性が出てくるのだが、私だったらもっと違う
結末にするだろうなぁ、と思う。どちらも主人公は命令違反を犯しながらも最後は
任務を成功させるのだが、私ならどちらも任務を失敗に終わらせる結末にするだろう。
私がストーリーを書くならば沈没寸前の密航船から人を救出できないままに沈没させる
だろうし、密輸入もまんまと成功されるだろう、本当に船を下りたいほど悩んだ時に
自分を抱きしめてくれる女性など描かないだろうな、と思うのだ。少なくとも、
私自身が悩んだ時にはそんな人などいなかった。それが現実なのだ。

主人公のような熱血漢の海上保安官なら、私なら一緒に乗りたくない。主人公の身も
毎回危険をさらしているけれど、他の乗組員にとって危険で仕方ないからだ。
例えば、本人達には悪いけれど密航者には他の保安官を危険に巻き込んでまで無理して
助ける義理はない。「密航する」とはそういうことなのだ。彼らに助かる権利などない
と言っていい。私も密航者を処理したことがあるけれど、『海猿』のストーリーは、
私にはすごく似非ヒューマニズムに思えて仕方ないのだ。

私も船に乗っていて事故に遭ったこともあるし、海賊に襲われたことも密航者を
見つけて官警に引き渡したこともある。現地の人にやむを得ず差別的扱いをせざるを
得なかったこともある。でも、それを誰が責められるのだろうか?責める人には
本当に責める権利などあるのだろうか?似非ヒューマニズムで言っているだけなら
私には何の説得力も感じないのだ。
| SHO | 海事 | 05:24 | comments(0) | trackbacks(0) |

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