藍青

〜晴れ時々日記〜 SHOがつづる短歌、旅行などなどの日記です。
香川県に住んでいるバイク好きです。愛車ヤマハYZF-R6の話も、書いていきます。
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田中拓也歌集 『直道(ひたちみち)』
短歌結社竹柏会「心の花」の先輩、田中拓也さんから第二歌集
『直道(ひたちみち、本阿弥書店)』が届きました。

『直道』は造語ですが、あとがきによると『常陸風土記』に
「常陸国」の由来として「直通(ひたちみち)」と言う記述が
あるとのこと。旧国名「常陸国」である茨城県に在住する著者の
生きる姿勢をも表しているようです。帯文に記された歌を何首か
引いてみましょう。

しろがねの雨走り去り夕されば筑波は淡き霧纏いたり

我は我の生を生きたし 垂直に降る東国の雨に打たれて

みどりごを抱きたる浅き夢醒めて雪の香のする水を飲み干す

海原の果てに生まるる群雲を父と見ており 父を見ており

桂馬にはなれぬ一生の一瞬を貫く如き突風が吹く

第11回歌壇賞受賞作『晩夏の川』の収録された第一歌集『夏引』から
4年、20代後半に確立した田中拓也の歌のスタイルの延長線上に
この歌集は存在しています。

田中拓也の歌のスタイルは男らしさや真っ直ぐさが前面に出た詠み口が
特徴です。佐佐木幸綱の帯文には「スリリングである。危険のにおいが
する。」と書いてありますが、私には安定したスタイルと得も言われぬ
もどかしさが同居しているように感じられました。安定したスタイルを
持つことは鋭い峯の上を走っているようなもので、峯のどちら側にも
いつ落ちるか分からない、そんな危うさを感じます。

君の名をいとおしみつつ朝髪の乱るるままの頬に手を当つ

浜茄子の白く輝く早朝の汀に響く遠き口笛

冷え切った川ずんずんと流れゆき千のコトバも流れゆくかも

あとがきの中で、著者は「『この歌集で、青春に決着をつけたい』
というようなことを言っていた。そのコトバは、ある意味では
実現し、ある意味では実現しなかった。」と書いてあります。

「青春に決着がついた」部分として、現在32歳の著者は職場で中堅の域に
差し掛かりつつあり、求められる仕事の質も変わり始めている、と述べて
います。
短歌界における著者への期待、あるいは私自身が持つ著者への期待も
4年前とは変わりつつあります。目標とする先輩のひとりとして尊敬して
いるからこそ、直道の先に見えてくるものへの期待と、そして不安を
感じてしまうのです。

父と子を貫くものを畏れつつ冬の港に魚を購う

故郷は逃げ水のごと霞みたり 近寄らば消え離れなば見ゆ

ふと人を思えり 遠き追憶の汀を走る銀の自転車
| SHO | 短歌 | 00:27 | comments(1) | trackbacks(0) |

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読みました
| | 2017/02/02 6:28 PM |

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